Fly me to the moon

ふと、昔の記憶がフラッシュバックすることがある。
それは特に劇的な思い出じゃないことが多い。


小学校4年生くらいの頃、学校ではミニ四駆が流行っていた。
僕はその日、学校から帰ってきてすぐに自転車でおもちゃ屋に向かった。
新発売のミニ四駆を買うために。
そこは自転車で20分くらいかかる結構遠い所だ。(小学生にとって自転車で20分は遠い。)
僕は早くそれが欲しくて全速力で自転車を飛ばした。
すると、向こう側から同じくらいの歳の子が同じく自転車でこちらに向かってきた。
左に避けようか右に避けようか躊躇していると、その子も同じように躊躇したため、
結局正面から自転車がぶつかってしまった。
幸いぶつかる前にお互いブレーキをかけていたのでタイヤ同士がぶつかった程度で大した衝撃じゃなかった。
その時、僕は咄嗟に「ごめん。」と言った。
すると、その子も「ごめん。」と言ってきた。
僕らはそのまま何事もなかったかのようにお互いの進む道に自転車を走らせた。


なぜこんな記憶がよみがえったのかはわからない。
当時はミニ四駆を買うことに夢中で全然気になんてしていなかったのに。



僕たちは記憶の集合体であって、
それすら僕たちは忘れているのかもしれない。
だから昔の記憶を時々思い出すことで、
それを忘れないようにしているんだろう。
それは、本能、なのかな。
記憶は、決して裏切ることはないから。